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再発・転移が心配…乳がんの手術を受けてからの注意点

4章 失われた乳房を再建したい場合(乳房再建)

手術の種類と方法

乳房再建手術は、再建を行う時期により、「一期再建(同時再建)」「二期再建」 と呼ばれる2つの治療の流れがあります。
また、補う方法(使用素材)によって大きく 「自家組織を使う方法」 と、 「人工乳房を使う方法」 の2つの方法に分けられます。

【乳房再建の時期】

  • 一期再建:切除手術と同時に行う方法
  • 二期再建:切除手術のあと一定期間おいてから行う方法

【乳房再建の方法】

  • 自家組織(脂肪、筋肉など自分のからだの一部)を使う方法
  • 人工乳房を使う方法

一期再建と二期再建の長所と短所

一期再建では、乳房の切除後、そのまま再建術を行います。このため、術後に乳房のふくらみがない、という喪失経験をしないで済みます。また手術時間は長くなるものの、切開や麻酔、入院は1度で済むことが多いため、二期再建より手術の回数が少なく、費用的にも低く抑えられるのもよい点です。
短所としては、再建手術に関して十分に検討する時間、心理的余裕がないまま手術を受けることも多く、理解が不足しがちなことがあります。また、一期再建の場合は、再建を行う形成外科医がいる医療施設で行う必要があるため、整形外科と連携している施設でないと事実上選択できません。

二期再建は、基本的に希望があればいつでも手術が可能ですので、乳がんの治療後にゆっくり時間をかけ精神的にゆとりをもった状態で手術に臨むことができるのが長所です。
ただし、手術回数や費用については、一期再建に比べて多くなります。また、二期再建では、再建術を受ける医療機関を自分で選ぶことが必要になりますので、医師選びをどうするか、よく検討しておくことも重要です。

なお、いずれの再建法も、局所再発率は変わりません。また、再発を見つける妨げにならないことも明らかになっています。

一期再建、二期再建それぞれの長所・短所

一期(同時)再建
乳房切除術と乳房再建術を同時に行う
二期再建
乳房切除術後、期間をおいて再建する
長所
  • 乳房の喪失感がない
  • 手術の回数が1回少ないので心身の負担が小さい
  • 乳がんの手術後、いつでも再建できる
  • 十分に納得して方法を選択するための時間的な余裕がある
短所
  • 再建法を検討する時間が少ない
  • 一期再建に対応できる施設が少ない
  • 術後に炎症などがおこりやすい
  • 手術回数、通院が多くなる
  • 入院する場合は費用が余分にかかる

乳房再建は、大きく分けて、(1)「 自家組織による再建 」と、(2)「 人工乳房による再建 」の2種類あります。

(1)「自家組織による再建」

患者さんの体の一部の組織を胸に移植する方法で、お腹の組織を使って補てんする方法(腹直筋皮弁法)と、背中の組織を使って補てんする方法(広背筋皮弁法)があります。

腹直筋皮弁法(ふくちょくきんひべんほう)

腹直筋皮弁法

お腹の皮膚と脂肪を、腹直筋の一部を付けた状態で、皮膚の下をくぐらせて胸部へ移植する方法です。お腹の脂肪を栄養にしている血管を付けて脂肪だけを移植して乳房をつくる方法(穿通枝皮弁法)もあります。お腹には脂肪が十分あるため、再建した胸の感触は柔らかく自然です。

ただし、お腹の筋肉を一部取るため、腹筋が弱くなることから、お腹の手術を受けた方や、将来妊娠・出産を予定している方には適しません。

広背筋皮弁法(こうはいきんひべんほう)

広背筋皮弁法

背中の皮膚、脂肪、筋肉に血管をつけたまま胸部に移植する方法です。
背中に傷が残りますが、特殊な縫い方によって目立たなくすることができます。感触は柔らかく自然です。

ただし、背中には脂肪が少ないため、大きな乳房は作れません。また、年月がたつと、再建した乳房が小さくなることがあります。このため、人工乳房を併用する方法が多く用いられています。

(2)「人工乳房による再建」

シリコンでできた人工乳房を挿入して補てんする方法です。 最も多く用いられているのは、「 エキスパンダー法 」です。ただし、皮膚にゆとりのある人では、エキスパンダーを使わず、はじめから人工乳房を挿入する方法もあります(単純人工乳房挿入法)。

エキスパンダー法

エキスパンダー法

皮膚を伸ばす袋(ティッシュ・エキスパンダー)を胸の筋肉に入れて、生理食塩水を徐々に入れて皮膚を伸ばし、乳房の形に膨らませた後、エキスパンダーを抜いてシリコンでできた人工乳房に入れ替える方法です。
手術は全身麻酔で行いますが、30~40分程度ですみ、外来で対応が可能です。また、乳房切除術のときにできた傷を使うため、新たな傷ができないのもメリットです。
人工乳房に使うバッグには様々な形や大きさがあり、これらを、使用する部位や大きさによって選択します。ただし、健康な側の乳房が垂れていたりするとバランスが悪くなり、対称性を維持するのが難しいこともあります。また、特に一次再建では、感染に注意する必要があります。

乳房再建の方法

1. 自家組織による再建 2. 人工乳房による再建
腹直筋皮弁法
お腹の脂肪と筋肉を使って補てんする
広背筋皮弁法
背中の脂肪と筋肉を使って補てんする
エキスパンダー法
エキスパンダーを使って皮膚を伸ばした後、人工乳房を入れ替える
単純人工乳房挿入法
はじめから人工乳房を直接挿入する

乳房再建方法の主な特徴

自家組織による再建 人工乳房による再建
腹直筋皮弁法
(穿通枝皮弁法)
腹直筋皮弁法(穿通枝皮弁法)
広背筋皮弁法

広背筋皮弁法
エキスパンダー + 人工乳房

エキスパンダー+人工乳房
手術のための入院 最低2週間 日帰りも可能
手術の時間 4時間前後
(穿通枝皮弁法では6~8時間)
30~1時間程度
手術の身体への負担 大きい 比較的大きい 小さい
傷跡 組織を取った部分に新たな傷が残る 乳房切除術の傷のみ
通院での治療 数週の1度の診察 生理食塩水の追加注入のため2週間~1ヶ月に1回程度
手術の自然度(触り心地) 自然 自然、ただし脂肪が少ないのでボリュームが不足することもある 人工乳房なのでやや硬い
耐用年数 良好 数年たつと、委縮して小さくなることがある 良好
費用 保険が適用される 保険が適用される 保険が適用される(アラガン・ジャパンのインプラントとエキスパンダー)

日本乳がん学会編「患者さんのための乳がん診療ガイドライン 2012年版」(金原出版)より改変

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1章 心の健康を維持するために

2章 生活の注意点

3章 再発・転移してしまった場合

4章 失われた乳房を再建したい場合(乳房再建)

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*このページは「医知恵 乳がん」サイトからの転載記事です。( 転載日:2019-09-06 )

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