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健康は正しい情報から! 医師が教える「健康を意識した生活習慣」

1章 正しい医療情報を選択し、生活に取り入れる

ちまたで話題の食事療法など健康情報に関する誤解

グルテンフリーは万人向けの食事療法?

たとえば、最近話題の食事法であるグルテンフリー。これは食事で小麦を摂取しないというものですが、世界的なテニスプレーヤーであるジョコビッチ選手が実践し、成績が上がったことで、一気に有名になりました。そもそも、彼はグルテンに対してアレルギー反応を示す「セリアック病」だったため、グルテンを控えることで、パフォーマンスが上がりました。

しかし、そのような病気ではない人がグルテンフリーの食事法にするとどうなるかということについては疑問が投げかけられていました。先ごろ報告されたコホート研究(注1)の結果では、「グルテンフリーの食事をしている人は、していない人に比べて糖尿病になりやすい」という結果が出たのです。

また、本来有益であるはずの全粒粉の摂取量が減少したことで、心血管疾患のリスクが増大するという結果も示されました。つまり、グルテンフリーは、誰に対しても体によいというわけではないのです。

注1)コホート研究:現時点(または過去のある時点)で、研究対象としている病気にかかっていない人を集め、長期間追跡して観察を続けることで、病気の発生または予防に関係している要因について調査するもの。

医師でさえ間違った認識をしている場合も

たまご

かつてはきちんとしたエビデンスがないにも関わらず、「卵を1個以上食べるとコレステロールが高くなる」といわれていた時代がありました。医師ですら、健康のためには卵は1日1個以内にするようにと推奨していました。

ところが、のちに卵とコレステロールに関する研究結果がでて、卵は3個ほど食べたところで、高コレステロール血症とは直接関係がないことがわかりました。それよりも、総カロリーや運動量のほうがコレステロールとの関係が強いというエビデンス※が出たのです。

かつて医師のなかでも流行した「コレステロールがたくさん入っている食べ物(=卵)を食べるのをやめたら、コレステロールは下がるであろう」という考えは論理的なようですが、エビデンスはありませんでした。その後、アメリカの心臓病に関する2つの学会が、「コレステロールの摂取量を減らせば血中コレステロール値が低下すると判定するだけの証拠が数字として出せないため、コレステロールの摂取制限を設けない」とガイドラインに発表しました。

日本でも同様の見解で、「2015年日本人の食事摂取基準」(厚生労働省)からはコレステロールの摂取制限を推奨していません。じつは重要なのはトータルのカロリー量。コレステロールを控えたとしても、炭水化物をたくさん摂って、運動も少なければ、コレステロールは高くなるのです。

※日本動脈硬化学会「コレステロール摂取量に関する声明」
https://www.j-athero.org/jp/outline/cholesterol_150501/

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1章 正しい医療情報を選択し、生活に取り入れる

2章 「睡眠・食事・運動」の押さえるべきポイント

3章 いつまでも若さとパワーを保つには

健康は正しい情報から! 医師が教える「健康を意識した生活習慣」

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