風疹から家族を守る
1章 風疹の基礎知識
2013年の今、なぜこんなに流行しているのか!?
風疹が、近年大流行しています。
2013年に入っても感染状況は収束するどころか、さらに拡大し続けています。
流行の発端は?
日本で今回の流行がはじまったのは2011年でした。
この年、アジア各国で大規模な風疹の流行が発生していました。
海外で風疹に感染した男性によりウイルスが日本に持ちこまれ、感染が拡大していったと考えられています。
風疹の流行状況(2013年5月時点)
2011年から東京、大阪など首都圏を中心に増え続けていた患者数は、2013年5月現在も過去最悪のペースで増加中です。
非常事態宣言が出された自治体もあり、全国で感染予防への関心が高まっています。
なぜ今、風疹がこれほど流行しているのか?その理由を見ていきましょう。
今、風疹が大流行している4つの理由
【理由1】 長い潜伏期間
感染してから発症するまでの期間を潜伏期間と呼びます。
風疹の潜伏期間は14~21日と長い特徴があります。(参考:インフルエンザの潜伏期間は1~2日)
感染者が感染に気づかない期間が長い分、周囲にウイルスを拡散する機会も増えるため、感染者が増加していると考えられています。
【理由2】 感染しても症状が表れない場合がある
感染しても発症しない状態を不顕性感染(ふけんせいかんせん)と呼びます。
風疹の不顕性感染者は15~30%といわれ、他の感染症より比較的高い割合で存在しています。
前述の潜伏期間と同じく、不顕性感染者が感染に気づかないまま周囲にウイルスを拡散している可能性があると考えられています。
【理由3】 はたらき盛りの世代にワクチン未接種の人が多い
風疹ワクチンは国の制度の変更があった影響で、ワクチンの接種率が低い世代(現在の20代~40代)が存在します。
今回の流行もこの世代が中心になって広がっています。
以前、当院に同じオフィスで働く男性社員3名が診察に訪れました。
診断の結果、全員が風疹でした。ワクチンを接種していない層は、働き盛りともいえるため、勤務先や取引先など広範囲に感染が広がりやすい傾向があるのかもしれません。
【理由4】 体内の抗体が不十分な年代がある
1990年4月1日以前に生まれた方は、風疹ワクチンを接種する機会が1回しかありませんでした。
1回の接種では、風疹ウイルスから身体を守るための「抗体」が不十分で、確実にウイルス感染を防げない恐れがあると考えられています。
風疹から家族を守るには
風疹を予防するには、ワクチンを接種するしかありません。
自分の体に風疹の抗体があるかどうか自信がない…という方は、医療機関で抗体検査をするのが最も確実です。
特に妊娠を希望される女性の方とそのご家族は、抗体検査を検討してみてはいかがでしょうか。