子どもの風邪(カゼ)と間違えやすいお薬の話
1章 風邪(カゼ)とは
風邪って、漢字で頭に思い浮かべれば伝染(うつ)るモノと分かる
そもそも風邪(カゼ)って?
「風邪」という漢字を分けてみると、「風がはこぶ邪(よくないもの)」と読み取れます。昔の人は風邪(カゼ)が、人から人に風が吹く様に伝染(うつ)るモノと感じたから、このように表現したのかもしれませんね。現在ではこの「邪」にあたるものは、いわゆる「ウイルス」による感染だということが分かっています。ウイルスが、鼻や口から体内に入ることで風邪(カゼ)を引き起こします。つまり、「空気や飲食物の通り道の表面(粘膜)に一時的(1週間前後)に傷害(ダメージ)を与える程度のウイルス感染」が風邪(カゼ)ということです。
風邪(カゼ)は、皆さんもよくご存知の通り、次のような症状が表れます。
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・鼻水 ・鼻づまり ・のどの痛み ・せき ・たん ・発熱 ・強い寒気 ・頭の痛み ・筋肉の痛み、関節の痛み ・全身のけだるさ ・目の充血 ・お腹の痛み ・吐き気 ・下痢 |
しかし、風邪(カゼ)は特定の一つの病気を表す言葉ではありません。
先に挙げた症状を起こすウイルスでの感染症を単にひとまとめにして、「風邪(カゼ)」と呼んでいるだけです。そのウイルスの種類の数はなんと200種類以上も存在しています。だから、同じ「風邪(カゼ)」と病院で診断されても、その症状の様子や程度がさまざまであるのは当然ですよね。
風邪(カゼ)ウイルスの感染の仕方
ウイルスが伝染する形式は「飛沫(ひまつ)感染」「空気感染」「経口(けいこう)感染」「経皮(けいひ)感染」「血液感染」とたくさん存在します。テレビでもよく耳にします、大変ややこしい専門用語ですね。 “○○出血熱ウイルス”と比べた意味で、「弱い」カゼウイルスなら、次の三つだけに分けて考えるとシンプルだと思いませんか?
1)鼻から感染【鼻風邪(カゼ)系】
鼻腔(鼻の中)→副鼻腔(鼻の中と通じる頭蓋骨の空洞)、中耳(鼻の中と通じる鼓膜の内側)→咽頭(口を開けたら、ペンライトで見える場所)→喉頭(ペンライトで見えない場所、声の調子が悪いときに表現する「のどの調子が悪い」の場所)→気管支
2)口から感染【胃腸風邪(カゼ)系】
口→食道→胃→小腸(主に栄養を吸収する場所)→大腸(主に水分を吸収して、最終的なうんちを作る場所)
3)鼻と口の両方から感染
有名どころで風邪(カゼ)ウイルスの名前を挙げると、
1)RSウイルス…鼻風邪(カゼ)系
2)ノロウイルス、ロタウイルス…胃腸風邪(カゼ)系
となります。
病院で「風邪(カゼ)」と診断されると、原因が一つのウイルスだけのように思われがちですが、二つ以上のウイルスに同時で感染していることも珍しくはありません。つまり、ウイルスが入ってくる玄関(鼻、口)が違うので、鼻風邪(カゼ)系ウイルスと胃腸風邪(カゼ)系ウイルスに同時にかかってしまうことがありえるのです。そこに後に説明する「細菌」感染まで加わってくると、もはや「風邪(カゼ)」だけの状態ではなくなります。