都市伝説レベルの誤解と偏見! 副鼻腔炎の正しい知識を身につけよう
2章 副鼻腔炎の診断とおもな治療法
最近増えている、アレルギー型の「好酸球性副鼻腔炎」

慢性副鼻腔炎の一つに、近年増えている好酸球性副鼻腔炎があります。一般的な慢性副鼻腔炎が細菌感染を原因とする化膿性(好中球性)副鼻腔炎であるのに対して、好酸球性副鼻腔炎はアレルギーとの関わりが深いことが特徴です。気管支喘息を持っている人やアスピリンなどの解熱剤で喘息やショックを起こしたりするアスピリン不耐症の人、また薬物アレルギーの人にもかかりやすいことが知られていますが、詳しい原因はまだ分かっていません。
手術をしても再発しやすい、難病指定の病気
細菌感染による一般的な慢性副鼻腔炎は抗生剤が有効ですが、好酸球性副鼻腔炎はアレルギーが原因なので抗生剤はほとんど効かず、保存的な治療はステロイドの内服薬や点鼻薬がメインとなります。症状がおさまったら治療は一度終了となりますが、3ヶ月ほど治療を続けて改善が認められない場合は、内視鏡手術を行います。
また、好酸球性副鼻腔炎では鼻の中にポリープができることが多く、ポリープができると薬による改善率が50%以下になってしまうので早期手術が推奨されています。
ただし、好酸球性副鼻腔炎は手術をしても化膿性副鼻腔炎に比べ、3倍ほど再発する確率が高く、再手術を行うケースも少なくありません。このように完治が難しいことから2015年に難病指定になりました。
好酸球性副鼻腔炎の診断基準
好酸球性副鼻腔炎かどうかは
- 内視鏡検査
- CT検査
- 血液検査(末梢血中の好酸球率)
をおこない、下記のように点数化して、判定します。

「アレルギー性鼻炎」との違い
アレルギーが原因の鼻炎というとアレルギー性鼻炎が挙げられますが、アレルギー性鼻炎の人がいきなり好酸球性副鼻腔炎になることはありません。好酸球性副鼻腔炎の原因はまだ明らかにはなっていませんが、重度のアレルギーが原因と考えられており、いわゆる花粉やハウスダストのアレルギー性鼻炎から移行することは、まずないので安心してください。
また、アレルギー性鼻炎と副鼻腔炎は原因も症状も異なります。
アレルギー性鼻炎
花粉やハウスダスト、ダニなどの異物に対する過剰な拒絶反応(アレルギー反応)によって起こる鼻炎です。たとえば、スギ花粉の時期にくしゃみや鼻水が止まらなくなるのが典型的な症状です。さらっとした鼻水、鼻づまりのほか目やのどのかゆみなどの鼻以外の症状も見られることもあります。
副鼻腔炎
おもに細菌の感染が原因(好酸球性副鼻腔炎は重度のアレルギーが原因とされる)で、どろっとした鼻水、鼻づまりが主な症状です。そのほか、目のまわりや目の奥の痛み、黄色い鼻水がのどに落ちる後鼻漏、痰や咳などの症状が現れることもあります。
アレルギー性鼻炎と副鼻腔炎の一番の違いは鼻水の粘性です。副鼻腔炎はどろっとした鼻水で、アレルギー性鼻炎はさらっとした粘度の低い鼻水なので目安の一つとして覚えておくと良いでしょう。
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1章 副鼻腔炎ってどんな病気?
2章 副鼻腔炎の診断とおもな治療法
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